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[全文公開] nexus(ネクサス)

佐和公認会計士事務所  佐和 周

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本連載は,国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが,今回も 前回 に引き続き,デジタル課税等に係る新しい国際課税ルールに関連する用語です。

nexus の訳が「ネクサス」では,何の解説にもなっていないのですが, nexus という用語自体のニュアンスは, connection に近いものです。つまり,税務の世界でいう「ネクサス」とは,シンプルには課税の根拠となる「つながり」を意味します。

この用語自体は,目新しいものではなく,従来から使われてきたものです(例えば,米国の sales tax など)。ただ, 前回 の「利益A」( Amount A )と同様, OECD (経済協力開発機構)の声明における第1の柱( Pillar One )に関連する重要な用語ということで,今回取り上げることにしました。

前回 お伝えしたとおり,デジタル企業を含む一定の多国籍企業( MNEs:multinational enterprises )に関しては,物理的拠点の有無にかかわらず,一定の残余利益( residual profit ),言い換えると,それに対する課税権が市場国に対して再配分されます。この残余利益が配分される市場国は,多国籍企業との間に,一定の収益( revenue )に基づく基準を満たす「つながり」,すなわち,「ネクサス」がある国という文脈になります。

物理的拠点の代表例は恒久的施設( PE:permanent establishment )ですが,端的には,それとは異なる利益の配分ルールとして,新しいネクサス・ルール( nexus rules )が設けられたということです。

編集部より

本欄ご担当の佐和周先生には,国際税務入門者向けの解説 『新任社員のための国際税務の仕組みとポイント』本号63頁 )をご執筆いただいています。Webセミナーとあわせてご利用ください(P・R会員)。

第1回 国際税務とは (2020年1月号)
第45回  外国税額控除制度
第8~12回 移転価格税制
第1415回  タックス・ヘイブン対策税制