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■日置重人・国税庁長官官房審議官インタビュー 『国税庁の国際分野での取組等について』

国税庁 長官官房審議官 日置 重人

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謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

本日は,新しい年の始まりに当たり,国税庁における最近の国際協力の状況などについて,紹介いたします。

  • (問1)  国際的な課税問題の解決に向けた各国税務当局との協力の枠組みについて,現在の状況や動向等についてお聞かせください。
  • 企業等による経済活動のグローバル化を背景として,近年,国際取引や海外資産を利用した脱税・租税回避行為や国際的な二重課税及び非課税といった国際課税の分野への関心が世界的にも一層高まっている中で,BEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトを始めとする国際的な議論・枠組みの整備の進展等に伴い,税務当局間の国際的な協力関係は急速に拡充されてきています。

    また,新型コロナウイルス感染症の拡大により,引き続き我が国だけでなく世界中の税務当局が影響を受けています。その中で,国際課税を適切に執行できるよう,税務当局間での知見の共有など更なる協力が進められています。

    (1) 国際課税ルールの見直し

    経済のグローバル化・デジタル化,企業活動の複雑化・多様化が進む中で,経済のデジタル化に伴う国際課税上の課題への対応については,OECDやG20を中心に国際的な議論が行われてきました。2020年10月に2つの柱からなるグローバルな解決策の「青写真(Blue Print)」が公表され,昨年7月にBEPS包摂的枠組み(Inclusive Framework on BEPS(以下「IF」))において大枠合意がなされました。この大枠合意を踏まえ,さらにIF各国での交渉が続けられ,昨年10月にIFにおいて...