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新任社員のための国際税務の仕組みとポイント 第23回 最近の税制改正とBEPS行動計画の関係

 公認会計士・税理士 佐和 周

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本連載では,これまで,関係する分野ごとに日本の税制改正やOECD(経済協力開発機構)のBEPSプロジェクトにおける行動計画を見てきましたが,近年の国際税務に関係する税制改正は,BEPSプロジェクトにおける行動計画に対応するものが多くなっています。そこで今回は,そういった税制改正について,OECDのBEPSプロジェクトにおける行動計画と紐付ける形で確認していきたいと思います。

1.BEPSのイメージ

(1)BEPSとは

連載 第1回 で少し触れましたが,まずBEPSは「Base Erosion and Profit Shifting」の略であり,日本語では「税源浸食と利益移転」と訳されます。単純にいうと,グローバル企業が各国の税制の隙間などを利用して税負担を軽減している状況を指す言葉であり,アップルをはじめ,グーグルやスターバックスなど,米国企業の例が有名です。

このBEPSに対して,日本も加盟しているOECDでは,BEPS防止のための行動計画を議論し,2015年に最終報告を取りまとめました(それぞれの行動計画の内容については,後述の2.参照)。そして,その行動計画の内容が日本の税制改正にも反映され...