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最近のニュース・トピックスを通して学ぶ 租税条約の理論と実際〈22〉第三国所在のPE に関する濫用防止

国際課税研究所 首席研究員 矢内 一好

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1 2016年米国モデル租税条約第1条

2016年米国モデル租税条約第1条(一般的範囲)第8項は,第三国所在のPEに帰せられる所得への租税条約の適用に関する規定です。この第8項の規定は,受益者である企業が居住地国以外の軽税率の国に支店,事務所等のPEを置き所得を帰属させる場合(triangular provision),このPEを有する企業の税負担は軽減することになるため,そのPEに帰属する所得に対する租税条約の便益の供与を認めないとするものです。

以下は,第1条第8項の規定です。

一方の締約国の企業が他方の締約国から所得を得た場合で,一方の締約国が当該所得を他方の締約国外に所在する恒久的施設に帰属...