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タイのローカルファイルに係る新規定について

Deloitte Touche Tohmatsu Jaiyos Advisory Co., Ltd, タックスディレクター 米岡 光二郎

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1.はじめに

タイでは2019年1月以降に開始される会計年度から移転価格税制が導入されました。それに伴い,日系企業を含む多くのタイ法人に対し,法人税の年次申告時に移転価格開示フォームの提出,及び歳入局が要求した場合に移転価格文書(以下,「ローカルファイル」)提出の義務が課されました(タイ歳入法第71条の3)。移転価格税制の導入後,2020年に移転価格開示フォームに関する詳細なガイダンスが公表されましたが,他方,ローカルファイルについては同じタイミングで細則の公表がされなかったためタイ歳入局の動向が注目されてきました。

このような状況の下,2021年9月30日にタイ歳入局から歳入局長官告示第407号(以下,「DGN407」)が公表され,待望のローカルファイルの記載要件等が明文化されました。本稿では,ローカルファイル記載要件,ベンチマーキング分析の免除要件,事前確認制度を利用している場合の記載要件を中心に述べるとともに,在タイ日系企業にとって望ましい各項目の実務的な対応についても私個人の私見をお知らせいたします。加えて,2021年10月15日に公表された国別報告書(Country-by-Cou...