裁決評釈 「資産の運用又は保有により生ずる所得」の範囲<上>
税理士 山崎 昇
(今月号)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 本裁決の概要
1 事案の概要
2 資産の運用・保有所得の課税に係る関係法令
3 本件各先物取引の概要
4 法令解釈及び事実認定・当てはめ
Ⅲ 税法上の「資産」と日経225先物の経済的価値
1 本裁決が参照したと思われる裁判例
2 租税法における「資産」の意義
3 本裁決における「資産」の判断枠組み
4 日経225先物取引の建玉の経済的価値
5 日経225先物取引における所得の発生メカニズム
6 考察
(来月号以降)
Ⅳ「資産の運用・保有所得」の法令解釈
1 本裁決が参照したと思われる税大論叢の論文
2 植松講演録が説明する資産の運用・保有所得
3「運用又は保有」の意義
4 PEを有しない非居住者における課税範囲
5 考察
Ⅴ 本件各先物取引所得は資産の運用・保有所得に該当するか
1 先物取引とは
2 法人税法上のデリバティブ取引の取扱い
3 所得税法における先物取引所得の所得区分
4 考察
Ⅵ おわりに
Ⅰ はじめに
国税不服審判所が平成31年3月25日行った裁決(未公表)(裁決番号平30-114,以下「本裁決」といいます。)に係る処分は,日本に恒久的施設(以下「PE」といいます。)を有しないシンガポール...