※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

最近のニュース・トピックスを通して学ぶ 租税条約の理論と実際〈23〉帰属主義への改正

国際課税研究所 首席研究員 矢内 一好

( 66頁)

1 総合主義から帰属主義への改正

(1)PE帰属所得

平成26年度の税制改正では,外国法人が日本に有する恒久的施設(Permanent Establishment)(以下「PE」とします。)に帰せられる所得(PE帰属所得)は,従来の国内事業所得に代えて国内源泉所得の1つとされました。『改正税法のすべて 平成26年度版』(大蔵財務協会)の解説(同書676頁)によれば,「国内源泉所得を所得の人的帰属に着目して内国法人並みの課税範囲とされる恒久的施設帰属所得(PE帰属所得)と所得の地理的帰属に着目した課税範囲とされるそれ以外の国内源泉所得に区分し」(カッコ内筆者注)と説明していますが,従来の課税管轄に係る理論では,外国法人への課税は領土主権に基づくものであることから,その課税所得の範囲が,領土内の財産の所在あるいは所得の発生という意味での国内源泉所得とされてきました。しかし,平成26年度改正では,内国法人並みに人的要素を重視したことになります。

(2)PE非帰属所得

日本にPEを有する外国法人のPE帰属所得以外の「その他の国内源泉所得」(以下「PE非帰属所得」とします。)については,PE帰属所得とは...