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インドネシア国税規則調和法の概要について

EYインドネシア  瀬戸 亮介
EY税理士法人  齋藤 隆一

( 85頁)

はじめに

インドネシア政府は2020年に投資促進のため雇用創出法(オムニバス法)を制定し,法人税率の引下げや付加価値税の控除/還付の緩和化,配当金の益金不算入等を進めてきましたが,COVID-19対策のための歳出増により,財政赤字が大幅(2020年はGDPの6.09%)に拡大しました。このような状況において,インドネシア政府は税収増による財政赤字の低減を目的として,2021年10月7日に国税規則調和法を可決し,2021年10月29日に法律第7/2021年として制定しました。この規定は,所得税(法人及び個人)については2022会計年度から,付加価値税については2022年4月1日からそれぞれ適用されます。

本稿では,インドネシアの日系企業,地域統括会社及び日本本社が内容を把握し,適時に対応する必要がある国税規則調和法の概要を説明します。

なお,本稿における意見は筆者個人のものであり,かならずしも所属する組織のものではないことにご留意ください。

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