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[全文公開] Income Inclusion Rule(IIR)(所得合算ルール)

佐和公認会計士事務所  佐和 周

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本連載は,国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが,今回も 前回 に引き続き,デジタル課税等に係る新しい国際課税ルールに関連する用語です。

IIR (所得合算ルール)とは,軽課税国の子会社等へ帰属する所得について,親会社等の国で,国際的に合意された最低税率まで上乗せ( top-up )して課税するというルールをいいます。

前提として,この用語は OECD (経済協力開発機構)が公表した Statement on a Two-Pillar Solution to Address the Tax Challenges Arising from the Digitalisation of the Economy (経済のデジタル化から生じる税務上の課題に対処するための2つの柱の解決策に関する声明)の第2の柱( Pillar Two )に関連する用語です。

第2の柱は,端的には,国際的に合意された最低税率(15%)を導入するものであり,その具体的な枠組みの1つとして, GloBE ルール( Global Anti-Base Erosion rules )と呼ばれる「国内法上の措置」があります。 IIR (所得合算ルール)は,この GloBE ルールの構成要素の1つであり,子会社等に係る租税負担割合的なものが最低税率(15%)未満である場合に,親会社等の国で最低税率まで合算課税を行う仕組みという位置付けになります。ちょうど日本のタックス・ヘイブン税制による合算課税をイメージして頂くとわかりやすいのではないかと思います。

編集部より

佐和先生のWebセミナー「国際税務基礎講座(全20回)」は,国際税務データベースでご覧いただけます(P・R会員)。本誌連載「 新任社員のための国際税務の仕組みとポイント 」と併せてご利用ください。

(1)国際税務の問題が発生する基本構造

(2)租税条約

(3)外国税額控除制度①

(4)外国税額控除制度②

(5)恒久的施設(PE)

(6)外国子会社配当益金不算入制度

(7)移転価格税制①

(8)移転価格税制②

(9)移転価格税制③

(10)国外関連者に対する寄附金

(11)タックス・ヘイブン対策税制①

(12)タックス・ヘイブン対策税制②

(13)過大支払利子税制・過少資本税制

(14)国際税務における個人の所得税

(15)海外取引における源泉所得税

(16)海外取引における消費税

(17)海外出向者・出張者に係る国際税務

(18)海外子会社からの資金還流

(19)海外子会社の清算・売却

(20)国際税務に係る税務調査