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実例で学ぶ 外国人雇用と海外出向者にまつわる税務・給与・社会保険 第139回 海外からのリモートワークにおける税務・労務

EY税理士法人 税理士 藤井 恵

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コロナ禍で外国人材を受け入れたくても,日本の入国管理関連の手続き上,受け入れが難しい状況が長らく続いています。

そのため,企業の中には「日本に入国できるまで,外国人社員の母国等から日本本社の仕事をしてもらえないか」,「仕事自体,パソコンとインターネットがあれば完結できるので,そもそも日本に来てもらう必要性は低いのではないか」,「日本にいる外国人社員から,親の面倒などを見るためにも,母国からのリモートワークを認めてほしいというリクエストが上がっている。有能な人材を引き留めるには何らかの策を講じる必要があると考えている」といった, 『海外にいながら日本本社の社員として勤務を行う場合の留意点』 についての相談が増えてきています。

そこで今回は,海外から長期にわたり日本の仕事をしてもらうに際し,日本本社の人事担当者からよくある質問をまとめてみました。

海外からのリモートワークという働き方自体がごく最近から始まったこともあり,海外リモートワークを前提とした明確な法令等は存在しません。

そのため,海外からのリモートワークについては,既存の仕組みに基づきその対応を検討する必要があります。

当社ではこのたびA国にいる外国人a氏を採用することになりました。コロナ禍が続く中,a氏はA国にとどまったまま,海外からリモートワークの形態で当社の業務を行ってもらおうと考えています。コロナ禍が明ければ,たまに出張で日本に来てもらうことがあっても,A国での居住は継続してもらおうと思っています。Q1 海外に居住したままの状態の外国人が,日本の会社の社員になることはできるのでしょうか。Q2 日本本社の社員になるためには,日本のビザや在留資格の取得は必要でしょうか。Q3 当社勤務中も,老後も,日本に居住する予定はありません。そのような状況ですが日本の社会保険に加入する必要はあるのでしょうか。Q4 A国と日本の間に社会保障協定...