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NEW ケーススタディ 国外中古建物を譲渡した場合等の取扱い

 税理士 永持 祐司

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設例

私(日本居住者)は給与所得者ですが、令和1年にA国の賃貸用不動産(B不動産)を中古で購入し賃貸していました。この賃貸用不動産は、中古建物で耐用年数を簡便法の4年で減価償却をしており不動産所得の金額が損失となるため、その損失の金額を給与所得の金額と損益通算をして毎年確定申告をしていました。今回、令和2年度の税制改正により令和3年以後の各年において、海外の中古建物からの不動産所得の損失の金額については給与所得との損益通算ができない(国外中古建物の不動産所得に係る損益通算の特例)こととなったため、令和3年11月にB不動産を売却しました。この改正によると、国外中古不動産に係る不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額がある場合、その損失の金額のうち中古不動産の建物の償却費相当額の損失は生じなかったものとみなすことになったときいております。この改正の適用を受けたB不動産を譲渡した場合の令和3年の確定申告の取り扱いを教えて下さい。【表1 国外中古建物の不動産所得の明細】単位:万円物件①収入金額②必要経費③損失額④②の必要経費の内、減価償却費の金額⑤国外中古建物の損失の内、償却費の額*1⑥国外中古...