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タックス・ヘイブン対策税制に係る課税処分を取り消し
税理士 堀江 知洋
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はじめに
東京高裁は、令和4年3月10日に、タックス・ヘイブン対策税制の適用において、みずほ銀行に 「租税回避の目的」 が無かったとして、国税当局の形式的な法律適用を認めず、東京地裁判決 1 を取り消し、みずほ銀行の請求を認容しました 2 。
本稿では、東京地裁判決と東京高裁判決の2つの争点に絞って紹介してまいります。
事案の概要
みずほ銀行(以下、原告)は、英領ケイマン諸島に特定外国子会社等であるMHCBとMHBK(以下本件各子SPC)について、本件各子SPCの平成26年12月30日から平成27年12月3日までの事業年度(以下、本件各子SPC事業年度)に係る本件各子SPCの発行済株式等のうち原告の請求権勘案保有...