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移転価格税制についての素朴な疑問⑧ 最適方法はどのように選定されるか(3)

外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一

( 60頁)

Ⅰ はじめに           ( 4月号

1 問題の所在

2 本稿で取り扱う事項

Ⅱ 独立企業間価格の算定方法

1 算定方法の概要

2 算定方法の分類

Ⅲ 最適方法の選定

1 基本三法について

2 DCF法の劣後

3 簡易な算定方法       5月号

4 利益分割法とTNMMの使い分け

Ⅳ TNMMの種類と特徴

1 TNMMの種類

2 TNMMの特徴

Ⅴ TNMMの適用例の検討

1 問題の所在

2 移転価格参考事例集の検討

3 まとめ

Ⅵ まとめ

1 最適方法の選定の手順

2 日系の多国籍企業グループへの当てはめ

3 まとめ

Ⅳ TNMMの種類と特徴

1 TNMMの種類

(1)三つの利益指標

TNMMは、国外関連取引に係る営業利益の水準と比較対象取引に係る営業利益 41 の水準を比較する方法であるが、その場合に用いる利益指標としては、現行法の下では、以下の三つがある。

①売上高営業利益率( 租税特別措置法施行令39条の12 第8項2号)

②総費用営業利益率(同項3号)

③営業費用売上総利益率(ベリーレシオ)(同項4号、5号)

これら三つの利益指標に基づいて独立企業間価格を算定する方法を具体的な算式で示すと、以下の図3のとおりである。すなわち、...