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令和4年度税制改正による「子会社株式簿価減額特例」の概要と実務対応のポイント

PwC税理士法人 税理士・公認会計士 荒井 優美子

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1.令和4年度税制改正の概要

子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避防止措置(子会社株式簿価減額特例、以下「本特例」)は令和2年度税制改正により導入されたものだが、外国子会社による期中の利益配当の実務や、外国子会社グループでの組織再編による意図しない本税制の適用の可能性があることから、制度の見直しが経済界から出されていたところである

令和4年度税制改正では、本特例の適用除外となる要件に以下の場合が追加された。

① 適用除外要件(特定支配日利益剰余金額要件)の判定を見直し、中間配当・期中配当を行った場合に、期中増加利益剰余金額及び特定支配前の期中増加利益剰余金額を加算して判定することを容認(根拠書類の保存を要件とする)

② 適用除外基準を満たす子会社を経由した配当等を用いた本特例の回避を防止するための措置(適用回避防止規定)が不適用となる場合を拡充し、(ⅰ)対象配当の額に係る基準時以前10年以内に孫法人等の全てが継続関係法人(設立時から基準時まで継続して子法人による特定支配関係あり)である場合、又は(ⅱ)親法人と孫法人との間に、孫法人の設立の時から孫法人が子法人に配当を支払...