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税務部・経理部も知っておくべき 関税・特恵税率活用の基本 第4回 「特恵税率活用に必要な原産地規則の考え方」について

公益財団法人日本関税協会 教育・セミナー部長 長谷川 実也
 調査研究部長 松本 敬

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1.はじめに

前回 の第3回「EPA特恵税率適用の基本的な流れ」のステップ5(各経済連携協定(以下、「EPA」という。)で定められた原産地規則を満たすかを確認)で、 各EPAの特恵税率の適用を受けるためには、対象となる産品が、各EPAで品目別に定められた原産地規則を満たす原産品であることが必要である と説明しました。

今回の「特恵税率活用に必要な原産地規則の考え方」では、EPAの原産地規則の基本構造及びそれを構成する規定の概略を説明し、その中でも特に重要である、対象となる産品が原産品かどうかを判断するための基準について詳しく説明します。

2.原産地規則の基本構造

最初に、EPAの原産地規則の基本構造について説明します(図1)。

EPAの原産地規則は、①原産地基準、②積送基準、及び③手続的規定の3つの規定から構成されます。①原産地基準は、対象となる産品がEPA上の原産品となるかどうかを判断するための基準、②積送基準は、原産地基準を満たし原産品となった産品が、輸出国から輸入国への運送途中で、例えば、すり替え、更なる加工が行われることにより、原産品としての資格を失っていないかどうかを判断するための基準、③手...