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各国の税務申告書を読み解く2<シンガポール編>

SCS国際税理士法人 税理士 中瀬 和正
SCS GLOBAL PROFESSIONALS (S) PTE LTD 公認会計士 原田 晃佑

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はじめに

連載2回目は、シンガポール編です。シンガポールの税務申告書は英語で作成されるため言語的な障壁は低いですが、軽課税国であり、非課税所得や受動的所得等のCFC計算上で論点となる項目が多い国でもあります。

本稿では、CFC計算上で部分対象外国関係会社に該当する設例を用いて、シンガポールの決算書及び税務申告書を見ていきます。

税務申告書の記載にあたっての基本情報

1.確定申告書の提出期限及び納付期限

多くのシンガポール法人は会計監査を受ける義務があり、会計監査が完了し株主総会によって決算が確定するのは決算期末から原則6ヶ月後となります。それを踏まえて、確定申告の税額計算を行うことを考慮して、税務申告期限は決算期末の翌年11月末と比較的長めに設定されています。

また、シンガポール法人税は賦課課税方式ですので、納税は申告時ではなく税務当局(以下、「IRAS」という)が発行する税額通知(NOA)の受領後となります。

決算期末後の法人税関連の一般的なスケジュールは、下記に記載の通りです。

名称英語名称期限見込申告(*1)Estimated Chargeable Income (ECI) Form決算期末から...