※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

一目でわかる中国☆ 国際税務教室 Vol.206 中国不正事例10選

上海ユナイテッドアチーブメント コンサルティング 代表 公認会計士・税理士 鈴木 康伸

( 113頁)

これまで筆者が経験してきた不正事例の一部を、対策も併せて紹介する。

1.小金庫問題

現金(裏金)を会社としてリザーブすることまたは当該現金を「小金庫」と称する。簿外の現金であるが、会社の経営目的で使うためのリザーブであることから、会社資産の着服とは意味合いが異なっている。中国では、政府当局(税関、税務局、衛生部門、社会保険部門など)への少額の心づけを手渡すことで業務を円滑に進めてきた過去の経験から、今でも少なからぬ会社で小金庫を保有している現状がある。裏金の作り方としては、架空の社員の給与名目による現金支給、私用の旅費、飲食代などの発票による現金引出し、などがある。

会社の利益のために使われる資金の...