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移転価格税制についての素朴な疑問⑭ 独立企業間価格はピンポイントかレンジか(3)

外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一

( 30頁)

Ⅰ はじめに.............................. 10月号掲載

1 問題の所在

2 本稿の検討対象

Ⅱ 国税庁の見解と納税者の対応の整理

1 国税庁の見解

2 納税者の通常の移転価格対応

3 補足的説明

Ⅲ 局面ごとの検討..................... 11月号掲載

1 初期調査の局面

2 本格的な調査の局面

3 相互協議を伴う事前確認の局面

Ⅳ 納税者としての留意点

1 問題の所在

2 納税者によるピンポイントとレンジの選択

3 「明確な差異」の取扱い

Ⅴ まとめ

1 検討結果のまとめ

2 納税者としての留意事項

3 さらなる疑問

Ⅳ 納税者としての留意点

1 問題の所在

国税庁の独立企業間価格に関する考え方は、上記のとおり、局面ごとに異なっている。そのような現実を踏まえた上で、納税者として留意すべき事項を次にまとめておく。特に、納税者として、独立企業間価格のレンジの設定に関し、いかなる点に留意すべきか、差異調整についてはどのように対応すべきかの点を中心に検討する。

2 納税者によるピンポイントとレンジの選択

まず、移転価格事務運営指針4--8にいう比較対象取引が複数ある場合の平均値等による独立企業間価格の算定には、二つの異なる意味があることを指摘しておきたい。一つ...