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[全文公開] domestic news 与党、令和5年度税制改正大綱を公表

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与党は12月16日、「令和5年度税制改正大綱」を公表した。

国際課税においては「デジタル経済の課税上の課題」が大きなテーマになっており、OECD・G20のBEPS包摂的枠組みにおいて議論されてきた。デジタル経済への対応として「市場国への新たな課税権の配分(第1の柱)」と「グローバル・ミニマム課税(第2の柱)」という2つの柱が示されているが、今回、第2の柱・所得合算ルール(IIR)が税制改正大綱に盛り込まれた(第1の柱は多国間条約により実施)。

所得合算ルールは、子会社等に係る実行税率が最低税率(15%)未満である場合に、親会社等の国で最低税率まで合算課税を行う仕組み。

各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ(約1,000億円)以上の多国籍企業グループが対象となり、令和6年4月1日から適用される。

なお、所得合算ルールとともに第2の柱を構成する軽課税所得ルール(UTPR)や、国内法で15%までの課税を定める国内ミニマム課税(QDMTT)については令和6年度税制改正以降の法制化を検討することとされた。

この所得合算ルールの導入に伴い、CFCの見直しも盛り込まれている。

所得合算ルールと現行のCFCは外国子会社の所得を日本で課税するという点で類似していることから、CFCを簡素化し企業の事務負担を軽減することが経産省などから要望されていた。

このような背景から外国関係会社がペーパーカンパニーなど特定外国関係会社に該当した場合、租税負担割合が 27%以上(現行:30%以上)であれば、会社単位の合算課税の対象外(適用免除)とすることなどが措置された。

また、大綱の前文には、「プラットフォーム課税」が記載された。国境を越えた役務の提供に係る消費課税について、国外事業者と消費者間の取引(BtoC取引)については、 国外事業者が消費税の納税義務者となっている 。この執⾏管轄が及ばない国外事業者への適正な課税が課題となっており、今後の動向が注目される。