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[全文公開] domestic news グローバル・ミニマム課税が令和6年4月1日以後開始年度から適用

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前ぺージ のとおり、与党税制改正大綱でグローバル・ミニマム課税への対応が示され、令和5年度税制改正では「所得合算ルール(IIR:Income Inclusion Rule)」に係る法制化が行われ、令和6年4月1日以後開始対象会計年度から適用される。なお、同制度の概要については、大綱の「五 国際課税―1 グローバル・ミニマム課税への対応」や、大綱の末尾に掲載された「【付記】各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の創設等」部分に、その具体的な内容が示されている。

直前4年度のうち2年度以上の総収入金額が「7億5,000万ユーロ」の企業グループに適用

大綱では、グローバル・ミニマム課税への対応として、(1)国際最低課税額に対する法人税(国税)(仮称)、(2)特定基準法人税額に対する地方法人税(国税)(仮称)、(3)情報申告制度の創設などが示されている。

これらは、各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が「7億5,000万ユーロ相当額以上」の多国籍企業グループ等(特定多国籍企業グループ等)に適用され、申告・納付と情報申告は、各対象会計年度終了日の翌日から1年3月(一定の場合には、「1年6月」)以内に行うこととされている(なお、OECDのモデルルール等では、適用初年度の情報申告書の提出は会計年度終了日から18カ月の期間が設けられることが示されている)。

国際最低課税額の計算については、主に大綱末尾【付記】の「二 国際最低課税額(課税標準)」に記載されており、1 グループ国際最低課税額、2 会社等別国際最低課税額、3 国際最低課税額、4 個別計算所得等の金額、5 調整後対象租税額の計算について、その概要を示している。

なお、上記(3)のとおり、同制度に係る「情報申告制度」も創設されており、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人は、「特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等の名称」、「構成会社等の所在地国ごとの国別実効税率」、「特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税額その他必要な事項」などをe-Taxにより、納税地の所轄税務署長に提供することが求められる。

「適用免除基準」の概要も示す

また、大綱では、同制度の「適用免除基準」などについても概要が示されており、(1)構成会社等の所在地国における対象会計年度および直前の2対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等の収入の平均金額が1,000万ユーロ相当額に満たない、(2)構成会社等の所在地国における対象会計年度および直前の2対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等の利益・損失の平均金額が100万ユーロ相当額に満たないという要件のいずれも満たす場合には、構成会社等の所在地国における国別国際最低課税額は零とされる(【付記】三 その他―1 適用免除基準)。

また、上記のほかにも「一定の国別報告事項(CbCR)の記載事項等を用いた経過的な適用免除基準を措置する」ほか、所要の措置を講じることも示されている。

※なお、2020年12月20日、OECDが公表した ニュースリリース の中で、グローバル・ミニマム課税に係る セーフハーバー等に係るガイダンス などが示されている。