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BEPS2.0の実施により日本企業が直面する新たな世界 第4回 BEPS2.0と税務係争

EY税理士法人  荒木 知

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1.BEPS2.0と税務係争

BEPS2.0は、PE(恒久的施設)がない多国籍企業についても売上等の市場国で生み出された価値に応じて市場国にも課税権を分配しようとするPillar 1と、国際的に最低限の法人税率を設定し、子会社の税負担が最低税率を下回る場合には、最低税率に達する分まで親会社所在地国で課税できるとするPillar 2の二つに大きく分かれます。

この制度は現段階においても、具体的な実施方法についてはまだまだ不明確なところもありますが、新しい税制である以上、①法令としての制度の制定、②税務行政当局による制度の執行及び納税者によるコンプライアンスを経て、③税務行政当局による税務調査及び納税...