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[全文公開] domestic news OECD グローバルミニマム課税のセーフハーバーガイダンス等を公表

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OECDは2022年12月20日、デジタル経済対応課税の第2の柱(グローバル・ミニマム課税)と、第1の柱(市場国への新たな課税権の配分)に係るいくつかの内容を ニュースリリース の中で公表した。

このうちグローバル・ミニマム課税については、実施パッケージ(implementation package)として、グローバル・ミニマム課税に関する「 (1)セーフハーバー等のガイダンス(Guidance on Safe Harbours and Penalty Relief) 」と、「 (2)情報申告書(public consultation document on the GloBE Information Return) 」、「 (3)税の安定性(public consultation document on Tax Certainty) 」に係る内容が公表されている(なお、(2)、(3)はパプコメとして公表されており、既に意見募集は終了している)。

制度導入当初の簡易的なセーフハーバー等を示す

上記のうち、GloBEルールに関する「(1)セーフハーバー等ガイダンス」では、今後の企業対応を見据えて注目が集まっている、制度導入当初の数年間の移行期間における簡易的なセーフハーバールールの内容などが示されている。なお、移行期間における簡易的なセーフハーバーは2026年12月31日までに開始する会計年度(ただし2028年6月30日より後に終了する会計年度を含まない)を適用対象としている。

ガイダンスでは、簡易的なセーフハーバーの方法として、①デミニマステスト、②簡易ETR(実効税率)テスト、③ルーティーン利益テストが設けられており、各国・地域(jurisdiction)における「①総収入が1,000万ユーロ未満、かつ、税引前利益が100万ユーロ未満」、「②簡易的に計算するETR(実効税率)が移行期間において比較する税率以上」、「③税引前利益が、有形資産・給与等に基づく実質基準の所得除外額(Substance-based Income Exclusion amount)以下」である場合という3つのテストのうち、いずれかを満たす場合には、トップアップ税額をゼロとみなすとしている。

なお、移行期間においては、「適格CbCR(国別報告書)と適格財務データの数値を使用して、簡易的に上記要件の充足を判定できる」ことが示されており、上記②の簡易ETRテストにおいても、適格CbCR・財務データの数値に一定の調整を行う簡素な方法によって、セーフハーバーテストに用いる実効税率を計算することができる。

また、同ガイダンスでは、②の簡易ETRテストで比較する税率は、2023~24開始会計年度は15%、2025開始会計年度は16%、2026開始会計年度は17%とすることも示されている。つまり、年度が進むにつれ、簡易実効税率との比較でクリアしなければならない税率が徐々に厳しくなる設計となっている。

第1の柱に係るDST等の撤廃についてもパブコメを公表

また、ニュースリースの中では、第1の柱に関連して「 DST等に関する多国間条約(MLC)案 」もパブコメとして公表されており、第1の柱の導入に伴うDSTの撤廃等に関するコミットメントの実施に係る内容案が示されている(なお、既に同パブコメに係る意見募集は終了している)。

なお、上記公表物の内容については、 今号4P から掲載の「Worldwide Tax Summary」もご参照下さい。