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実務家のための消費税 輸入・輸出・内外判定Q&A 第220回 居住用賃貸建物の課税仕入れの80%控除経過措置の適用

 税理士 上杉 秀文

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令和5年10月1日から適格請求書等保存方式が適用され、当初の3年間においては免税事業者等からの課税仕入れについて80%相当額の仕入税額控除が適用されます。

宅地建物取引業を営む者が消費者から棚卸資産として建物を取得する課税仕入れについては、帳簿等の保存のみで仕入税額控除の適用が認められるようですが、居住用賃貸建物の課税仕入れには仕入税額控除の適用が認められません。建物の課税仕入れについて全額控除の認められる取引、80%控除の認められる取引及び仕入税額控除の認められない取引の適用関係はどのようになるのでしょうか。

①適格請求書発行事業者から建物を購入する取引及び②宅地建物取引業を営む者が適格請求書発行事業者以外の者から建物を棚卸資産として購入する取引については地方消費税を含めて支払対価の110分の10相当額、適格請求書発行事業者以外の者から固定資産として購入する取引については経過措置の適用により支払対価の110分の8相当額を仕入税額控除の対象とすることができます。しかし、居住用賃貸建物の課税仕入れに該当する取引についてはいずれの場合にも仕入税額控除の対象とすることはできません。

居住用賃貸...