※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

実務家のための消費税 輸入・輸出・内外判定Q&A 第221回 令和5年改正法案(20%課税措置)の下での課税事業者選択の判断

 税理士 上杉 秀文

( 109頁)

令和5年10月1日から適格請求書等保存方式が適用され、免税事業者の課税事業者選択の判断が問題となっています。令和5年の税制改正では、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間に課税事業者を選択した事業者については、その課税期間及びその後のこれらの日の属する各課税期間の課税標準額に対する消費税額の80%相当額を仕入れに係る消費税額とし、残りの20%相当額を納付税額とする特例が設けられるようですが、免税事業者がこの適用期間中に課税事業者選択をしてこの特例の適用を受けるのと、免税事業者のままで買主から仕入税額控除の経過措置の適用を受ける80%相当額を上乗せした金額での取引を行うのでは、免税事業者にとってどちらが有利になるのかについて解説していただけませんか。

売主の免税事業者と買主の課税事業者との間で決定する対価の額により異なりますが、買主の課税事業者が税額控除のできる金額を売主に上乗せして支払う取引であることを前提とする限り、売主が課税事業者を選択し簡易課税制度を適用するよりほとんどの業種で免税事業者のまま継続することが有利になり、令和5年の法改正による20%課税...