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国際税務研究 日本支店が外国本店と共同して海外JV工事を受注する場合のPE帰属所得の計算

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 112頁)

設例

 A国の総合建設会社であるA社は、日本国内に支店を設け、日本国内及びその周辺国における建設工事については、原則として日本支店に当該工事の請負及び施工を行わせ、A社の本店は、必要に応じて資金や人材の提供、アドバイスや資材の調達・供給を行うことにしている。

この日本支店施工の建設工事のうち、日本国外の工事に係る工事損益については、日本支店の会計処理上も同支店に帰属するものとして認識し、いわゆるPE帰属所得として日本で税務申告を行うとともに、当該工事の施工に当たり、必要に応じてA社本店から提供を受ける資金や人材、アドバイス、資材の調達に係る損益については、いわゆる内部取引に係る損益として、その都度、適切な調整を行って、税務上も認められている。

2 ところで、この度、A社日本支店とかねてより親密な関係にあるB国の同業者B社から、このところ経済発展の著しいC国のC社が同国内に超大型の流通機能を持つ巨大な複合型商業施設を建設することになったが、その工事施工をいわゆるJV方式(joint venture;建設共同企業体)による共同施工方式によりたいとの意向で、現地に近いA社日本支店にも是非これに参...