※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

実例で学ぶ 外国人雇用と海外出向者にまつわる税務・給与・社会保険 第151回 海外赴任の多様化とは

EY税理士法人 税理士 藤井 恵

( 116頁)

最近、海外赴任者規程の見直しに関するご相談が以前にもまして増えています。ここ数年のコロナ禍による混乱を通じ、既存の規程ではカバーできないことが多々あると明らかになったこと、昨今の円安や海外の物価高で、赴任者からの苦情や不満が相次いでいることがその背景にあるといえます。

ですが、見直しが必要になっている最も大きな要因は、「海外赴任」が以前にも増して多様化したことで生じる課題に対し、個別対応を繰り返した結果、海外赴任者に関する制度の複雑化、重複感が発生し、現在の制度を今後も使い続けることが難しい状況になったことがあげられます。

特に何十年も前から多数の海外赴任者を送り出し、海外赴任者規程や運用制度が整備されているほど、個別対応で対応しようとする傾向があり、既存の規定を根本的に修正する機会が乏しかったかもしれません。

では、「海外赴任の多様化」とは具体的にどのようなことでしょうか。以下の6点について、その実例および検討すべきポイントや生じる課題をまとめてみました。

海外赴任の多様化

1.赴任先の多様化2.赴任国の多様化3.赴任者の属性の多様化4.赴任者の働き方の多様化5.赴任者の価値観の多様化6.赴任...