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NEW ケーススタディ 婚姻の成立と所得税法、相続税法における配偶者

 税理士 渡邊 利明

( 122頁)

設例

私たち夫婦は、アメリカで法律の定めに従った婚姻の方式により婚姻を挙行したものの、日本では戸籍法所定の届出をしておりません。この場合、所得税法、相続税法上は配偶者として認められないのでしょうか。

なお、私たち夫婦はいずれも、日本国籍者(以下、「日本人」とします)で、民法に規定される婚姻の実質的成立要件を満たしています。

結論

所得税法、相続税法において配偶者は、民法と同様に法律上の婚姻関係にある者と解されています。民法によれば、法律上の婚姻関係となるためには、民法に規定される婚姻の実質的成立要件と形式的成立要件を満たす必要があります。戸籍法所定の届出は婚姻の形式的成立要件とされています。

しかし、日本人同士が国外で行う婚姻は、国際私法により適用すべき準拠法が決定されます。この点について日本の国際私法である「法の適用に関する通則法」によれば、婚姻の実質的成立要件については、各当事者の本国法であるわ...