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バーチャル組織の実践課題 第6回(最終回) 5年後の組織考察

AsiaWise会計事務所 税理士 高野 一弘
AsiaWise会計事務所 公認会計士 山﨑 耕平
AsiaWise会計事務所 弁護士 久保 光太郎

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1.はじめに

経済のグローバル化及びデジタル技術の発展により徐々に導入、発展してきた「バーチャル組織」ですが、コロナ禍による強制的な移動制限の激震により、この3年余りの間で急激に浸透しました。ここで、バーチャル組織とは、グループ企業の経営・運営上、必要となる要員とその所在地国が一致しないグループ企業管理体制を指します。このような組織実態の変化が企業の法令対応、ガバナンス対応に対してどのような影響を与えるのかという課題について、これまで検討してまいりました。

本連載は今回が最終回となります。今回は、視点を将来に向けて、5年後のバーチャル組織の検討課題というテーマで論じたいと思います。

2.5年後の企業組織とは?

(ア)バーチャル化の深化(非拠点化)

5年間という中長期的なスパンで考えると、特に機能部門など一定の部門においては、今後、バーチャル組織の活用が進んでいくことに疑いの余地はないと考えられます。

バーチャル組織が今後も継続的に発展、拡大を続けるとした場合、そう遠くない将来には、世界中の人材が、その居住地にとらわれず、さまざまな形で、グローバルに展開される企業活動に従事することができる経営、労働...