租税事件の論点からアプローチする実務国際課税 第4回 米国デラウェア州LPS(外国事業体)を巡る税務(下)
秋元 秀仁
略歴 大蔵省主税局、国税庁調査査察部調査課(国際/審理担当)、同課税部法人課税課、同審理室、東京国税局統括国税実査官(国際/富裕層担当)、玉川税務署長、東京国税局調査管理課長、国税庁長官官房監督評価官室長、札幌国税局総務部長、高松国税局長などを歴任。現在、税理士。
※ 3月号掲載 はじめに Ⅰ 事案の概要 Ⅱ 争いなき事実 Ⅲ 争点・論点 Ⅳ 最高裁判決要旨(国側勝訴) Ⅴ 控訴審判決要旨(国側勝訴or国側敗訴) |
Ⅵ 検討 1 最高裁における判断枠組み 2 「権利義務の帰属主体」に対する考察 3 「separate legal entity」の意義 4 「法人該当性」に対する考察 5 「他の法域で組成されたLPS」について 6 米国LPSを通じた年金基金投資と租税条約の適用 7 本判決の射程 Ⅶ 事業体課税への再考 ~課税実務における留意点と今後~ |
Ⅵ 検討
1 最高裁における判断枠組み
(1) 2ステップ・アプローチ
最高裁における外国事業体(組織体)に対する法人該当性の判断枠組みは、2つのステップを踏んで判断するアプローチを採っているものと考えられる。すなわち、最初のステップ(first step rule)は、当該組織体に...