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租税事件の論点からアプローチする実務国際課税 第4回 米国デラウェア州LPS(外国事業体)を巡る税務(下)

  秋元 秀仁

( 84頁)

略歴  大蔵省主税局、国税庁調査査察部調査課(国際/審理担当)、同課税部法人課税課、同審理室、東京国税局統括国税実査官(国際/富裕層担当)、玉川税務署長、東京国税局調査管理課長、国税庁長官官房監督評価官室長、札幌国税局総務部長、高松国税局長などを歴任。現在、税理士。

3月号掲載

はじめに

 事案の概要

 争いなき事実

 争点・論点

 最高裁判決要旨(国側勝訴)

 控訴審判決要旨(国側勝訴or国側敗訴)

 検討

1 最高裁における判断枠組み

2 「権利義務の帰属主体」に対する考察

3 「separate legal entity」の意義

4 「法人該当性」に対する考察

5 「他の法域で組成されたLPS」について

6 米国LPSを通じた年金基金投資と租税条約の適用

7 本判決の射程

 事業体課税への再考

~課税実務における留意点と今後~

Ⅵ 検討

1 最高裁における判断枠組み

(1) 2ステップ・アプローチ

最高裁における外国事業体(組織体)に対する法人該当性の判断枠組みは、2つのステップを踏んで判断するアプローチを採っているものと考えられる。すなわち、最初のステップ(first step rule)は、当該組織体に...