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BEPS2.0各国の法制化状況と日本企業における留意点 第1回 各国の法制化状況の正確な理解が重要である理由

EY税理士法人 パートナー 関谷 浩一

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1.はじめに

今月から、「BEPS2.0各国の法制化状況と日本企業における留意点」と題して、主にGloBEルールに関する各国の対応方針、法制化の状況、各国の国内法との相関関係で特に留意する点などを国ごとに解説します。GloBEルールは、各国における税負担を最低15%とすることを目的としています。この目的を達成するため、全ての国や地域がGloBEルールを導入しない場合においても、各国制度の相互関係を活用して最低税率15%の税負担が実現されるように複雑な仕組みとなっています。このため、各国の既存の税制及びGloBEルール導入の状況によって、計算のプロセスや納税義務を負う法人が異なる結果となります。納税申告に間に合えばよいのであれば、年に一度、事業年度終了後に制度の調査を行えば足りるかもしれませんが、会計上の税金費用の引当てを考慮すると、会計期間中においても、重要な子会社所在地国で重要な制度変更がないことを確認する必要が生じると思われます。したがって、BEPS2.0 GloBEルールに対応するためには、各国のGloBEルール法制化や既存税制の改正の動向を常にモニタリングし、変化に即応できる体制...