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租税事件の論点からアプローチする実務国際課税 第5回 外国法人のスピンオフに伴い既存株主に交付された外国法人株式と配当課税(上)

  秋元 秀仁

( 50頁)

略歴  大蔵省主税局、国税庁調査査察部調査課(国際/審理担当)、同課税部法人課税課、同審理室、東京国税局統括国税実査官(国際/富裕層担当)、玉川税務署長、東京国税局調査管理課長、国税庁長官官房監督評価官室長、札幌国税局総務部長、高松国税局長などを歴任。現在、税理士。

 事案の概要

 争いなき事実

 争点・論点

 審判所の判断

※6月号掲載

 考察

1 スピンオフと株式交付

2 配当の意義

3 分割の意義

4 先行判例を踏まえた考察

5 本裁決の評価と射程

 課税実務への影響

Ⅰ 事案の概要

本件は、外国法人の事業分割に伴いその分割される外国法人から株式の交付を受けた既存の株主X(居住者:審査請求人)に対し、原処分庁が「その交付された外国法人株式は『剰余金の配当』に当たり(課税対象となる)」などとして、所得税等の更正処分等を行ったところ、これにつき、Xは「当該株式を取得したことに実質的な利益は発生していない(課税対象でない)」などとして、それらの処分の一部取消しを求めた事案である。

Ⅱ 争いなき事実

【取引関係図】

1 Xについて

X(居住者:審査請求人)は、従前、G社の株式を保有していた【図①】が、平成14年頃...