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移転価格税制についての素朴な疑問⑳ 無形資産取引について何に留意すべきか(2)

外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一

( 44頁)

Ⅰ はじめに

1 問題の所在

2 本稿の対象

Ⅱ 令和元(2019)年度税制改正とその背景

1 BEPSプロジェクトと無形資産

2 令和元(2019)年度税制改正の概要

Ⅲ 無形資産の定義

1 国内税法とOECD移転価格ガイドラインとの異同

2 無形資産の意義と種類

3 無形資産に含まれないもの

4 まとめ

Ⅳ DEMPEと独立企業間対価の支払

1 DEMPEの導入

2 国内税法の考え方

3 まとめ (6月号)

Ⅴ 日系多国籍企業と無形資産取引

1 日系の多国籍企業の実態

2 ライセンス取引

3 研究開発委託取引

4 譲渡取引

5 管理委託取引

Ⅵ まとめ

1 本稿のまとめ

2 今後のテーマ

Ⅳ DEMPEと独立企業間対価の支払

1 DEMPEの導入

(1)DEMPE概念の概要

前記Ⅲによって無形資産が特定されたら、さらに当該無形資産に係る取引において、多国籍企業グループのメンバーが得る利益についての適切な配分がされなければならない。

無形資産取引に関する利益の帰属に関しては、BEPS行動計画8--10の最終報告書が2015年10月に公表される以前においては、無形資産の法的所有者と経済的所有者との観点から議論されることが一般的であった38。例え...