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租税事件の論点からアプローチする実務国際課税 第6回 外国法人のスピンオフに伴い既存株主に交付された外国法人株式と配当課税(下)

  秋元 秀仁

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略歴  大蔵省主税局、国税庁調査査察部調査課(国際/審理担当)、同課税部法人課税課、同審理室、東京国税局統括国税実査官(国際/富裕層担当)、玉川税務署長、東京国税局調査管理課長、国税庁長官官房監督評価官室長、札幌国税局総務部長、高松国税局長などを歴任。現在、税理士。

5月号掲載

 事案の概要

 争いなき事実

 争点・論点

 審判所の判断

 考察

1 スピンオフと株式交付

2 配当の意義

3 分割の意義

4 先行判例を踏まえた考察

5 本裁決の評価と射程

 課税実務への影響

Ⅴ 考 察

本件は、外国の法令に準拠して行われたスピンオフ(事業分割)という行為に関し、その行為の一環としてなされた「子会社株式のその株主に対する交付(本件株式交付)」行為を我が国租税法(所得税法、法人税法)の規定にどのように包摂するかが論点とされた租税事件である。

審判所の裁決は、本件株式交付について、所得税法(平成29年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)の配当規定は広範であって、本件株式は「剰余金の配当」に該当し、さらに、本件の事業分割について、「我が国会社法上の分割が、法的効果としての権利義務の一般承継をその本質的要素と...