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富裕層の相続の法務と海外の相続税 第11回 カナダ・アイルランドの相続税

国際課税研究所 首席研究員 矢内 一好

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1 カナダの相続税と贈与税

(1)国内法

カナダの相続税は、被相続人の遺産から納税するという形で納税義務が生じます。確定申告は、遺産課税方式の米国に類似して、遺言のある場合は遺言執行人、無遺言の場合は遺産管財人が申告納税を行うことになります。

死亡した者の申告期限は、1月から10月までの間の死亡の場合は翌年の4月30日、11月から12月の間の死亡の場合は死亡日から6か月以内です。

カナダは、相続税、贈与税がありませんが、税法上、個人が死亡すると、死の直前に、所有していたすべての財産を市場価値で処分したとみなします(Deemed Disposition)。そして、財産の取得日から価値が上昇している場合は...