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誌上セミナー 基礎 金融取引移転価格対応

東京共同会計事務所パートナー・TKグローバルトランザクションアドバイザリー株式会社 代表取締役社長 丸山 裕司

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今回のテーマは、「金融取引移転価格対応」です。その中でも、事業会社の多くが行っている「親子ローン」及び「親子保証」に焦点を当て、今後必要となる移転価格対応について解説します。

1 改正版の移転価格事務運営要領とそれらが与える影響

日系事業会社にとって金融取引は本業ではないため、金融取引に関する移転価格対応は後手に回っていた印象があります。しかし、2022年6月に公表された改正版の移転価格事務運営要領は、金融取引の価格設定について、根本的な見直しを求める内容となっています。

しかも、これは事業会社の規模、金融取引の規模を問わず一律に適用され、事業会社に与える影響は大きくなっています。

一方で、適用開始時期が迫っており、具体的には2022年の7月1日以降の事業年度から適用が開始されます。日本の事業会社は3月決算が多いですが、その場合、2023年4月開始の事業年度から適用されます。したがって、事業年度開始前までに、これらについて見直しを検討することが望まれます(2023年5月現在)。

非常に影響が大きく重要な改正であるため、2022年にも国際税務研究会主催セミナーにて、「金融取引移転価格対応」をテーマ...