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東南アジア・オセアニア地域 定点観測 主要7ヶ国における最近の税制改正と執行状況〈上〉 ~2023年度版~

PwC税理士法人 パートナー 神保 真人
PwCインドネシア パートナー 菅原 竜二

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過去2年以上に渡り東南アジア地域においても猛威を振るった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックも収束に向かい、長きにわたり行われていた行動制限、出入国に関わる規制等は主要国においてほぼ撤廃されている状況である。特に2023年に入ってから日本本社からの東南アジア各国への出張なども大幅に増え、日系企業の当地域での企業活動は更なる活発化の兆しを見せている。

東南アジア地域の各国税務当局は、COVID-19への対応に伴う財政支出、政府債務返済の財源を確保するための施策を含む多様な税制改正を発表し、また、財源の確保のために税務執行を強化する傾向が依然として顕著である。インドネシア、マレーシアなど東南アジア主要国においては、2022年において過去最高水準レベルの税収を記録しており、2023年においても当該税収の増加傾向は続くものと想定されている。

2023年に入り、経済協力開発機構(OECD)による「経済のデジタル化から生じる税務上の課題に対処するための2つの柱」における第2の柱(いわゆるグローバル・ミニマム課税)に関連する税制改正が世界各国で行われ始めているが、オーストラリア...