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租税事件の論点からアプローチする実務国際課税 第8回 外国税額控除の適用時期

  秋元 秀仁

( 52頁)

略歴  大蔵省主税局、国税庁調査査察部調査課(国際/審理担当)、同課税部法人課税課、同審理室、東京国税局統括国税実査官(国際/富裕層担当)、玉川税務署長、東京国税局調査管理課長、国税庁長官官房監督評価官室長、札幌国税局総務部長、高松国税局長などを歴任。現在、税理士。

目次

 事案の概要

 裁判所の判断(高裁)

 検討

1 外国法人税を「納付することとなる」の意義

2 税務通達を踏まえた検討

3 控除限度額の繰越制度からの検討

4 本判決の射程

5 本件を踏まえた実務上の留意点

Ⅰ 事案の概要

【取引関係図】

  当事者等

原告(X)は、我が国の株式会社(昭和53年設立、2月決算)であり、その主たる事業は、電子部品の製造、販売及び輸出入業務等である。なお、Xは、中国国内に生産・経営活動に従事する機構や場所を有していない(中国非居住者企業)。

A社は、2002年(平成14年)9月に設立された中国上海市を本店所在地とする外国法人である。設立当初、XがA社の発行済株式の70%の出資持分(420万米ドル)を有していたが、後記のとおり、Ⅹはこのうち50%の持分(取得原価で300万米ドル相当)をB社(及びC社)に対し譲渡し...