移転価格税制についての素朴な疑問 22 無形資産取引について何に留意すべきか(4)
外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一
Ⅰ はじめに ( 5月号 掲載) 1 問題の所在 2 本稿の対象 Ⅱ 令和元(2019)年度税制改正とその背景 1 BEPSプロジェクトと無形資産 2 令和元(2019)年度税制改正の概要 Ⅲ 無形資産の定義 1 国内税法とOECD移転価格ガイドラインとの異同 2 無形資産の意義と種類 3 無形資産に含まれないもの 4 まとめ |
Ⅳ DEMPEと独立企業間対価の支払 ( 6月号 掲載) 1 DEMPEの導入 2 国内税法の考え方 3 まとめ Ⅴ 日系多国籍企業と無形資産取引 ( 7月号 ) 1 日系多国籍企業の実態
3 研究開発委託取引 (次号以降掲載予定) 4 譲渡取引 5 管理委託取引 Ⅵ まとめ 1 本稿のまとめ 2 今後のテーマ |
Ⅴ 日系多国籍企業と無形資産取引(承前)
2 ライセンス取引(承前)
(4)ロイヤルティに関する上限規制
(a)問題の所在
特に途上国においては、ライセンス取引に係るロイヤルティ料率を法制上又は事実上制限していることがある。そのような場合には、上限を超える料率の設定自体が認められないことになる。このような現象を日本側から見ると、上限規制内では、ライセンスの対価として適正と考えられるロイヤルティが回収...