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EU炭素国境調整措置(CBAM)規則の概要と移行期間に向けた備え

デロイト トーマツ GTB株式会社 代表取締役社長 牧野 宏司
 シニアアソシエイト 櫻井 匠

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炭素国境調整措置(Carbon Border Adjustment Mechanism、以下、"CBAM")については、欧州連合理事会と欧州議会の間で、2022年12月13日に暫定合意に達した旨、報道された後、約半年の期間を経て、2023年5月10日に署名された。これを受けて、同月16日、欧州連合官報にCBAMを創設する規則(Regulation(EU)2023/956、以下"CBAM規則")が掲載され、翌17日に発効した

CBAM規則によれば、同規則の本格適用開始日は2026年1月1日とされており、同日以降は、原則としてEU域内に対象製品を輸入する場合、当該製品の輸入者(又はその間接通関代理人。以下同様)は、事前にCBAM申告者として認可を受けた上で、対象製品の輸入総量及び温室効果ガス排出量等を記載した申告書の提出と、温室効果ガスの排出量に応じたCBAM証書の購入と償却が求められることとなる。

また、同規則には本格適用への円滑な移行及び貿易の混乱回避を目的として、2023年10月1日から2025年12月31日までの期間を移行期間とし、EU域内に対象製品を輸入する輸入者は、当該以降期間...