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国際税務研究 世界各地で深海作業を請負う日本法人における外国税額控除適用上の問題点

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 106頁)

設例

 日本法人であるA社は、専ら海底資源の探査や沈没船の捜索・引揚(サルベージ)、海底ケーブルの敷設作業等の深海作業の請負を行う専門業者であり、その事業活動範囲は、世界全域にわたっているが、海外の請負作業から生じた所得について現地で課税された外国法人税額については、日本における法人税の申告に当たり、継続的に外国税額控除の適用を受けている。

A社が海外で行う請負作業は、それぞれの作業内容に応じて、その作業期間が最短でも数か月、長くなると1年以上の長期にわたるものも珍しくないため、必要に応じて現場海域の最寄りの国の港に専ら燃料その他の船用品の補給、作業用設備機材の調達・整備、作業要員(技術者)の休...