※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

6月政省令によるグローバル・ミニマム課税の計算の全体像と重要規定

PwC税理士法人 デジタル経済課税対応チーム マネージャー 吉田 貴弘

( 30頁)

第1 国際最低課税額に対する法人税に関する政省令

新たな国際課税ルールとして第2の柱(グローバル・ミニマム課税)における所得合算ルール(以下、「IIR」という。)を中心とする内容を規定した法人税法(以下、「法法」という。)が2023年3月末に成立・公布された。これらの法法の規定は、2024年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用される予定である(改正法附則11条、16条参照)。

法法では、IIRの適用にあたり必要な定義規定(法法82条一号から三十二号)と国際最低課税額の計算規定の骨子(法法82条の2)及びその他申告等に関する規定(法法82条の3から82条の10)が定められた。これに加えて、いわゆる移行期間に係るCbCRセーフハーバーの規定(改正法附則14条)が定められた。

このような中、法法において政省令への委任事項とされていた内容について2023年6月16日に法人税法施行令(以下、「法令」という。)が、6月30日に法人税法施行規則(以下、「法規」という。)が公表された。

これらの法令及び法規の内容は多岐にわたるものであり、限られた紙幅の中で全てについて取り上げて解説することは困難であるため、本稿では、まず、法法で規定された国際最低課税額の計算の概要を確認し、法令及び法規の概要を説明した後、法令及び法規において重要と考えられる規定について解説をする。

第2 改正後法令及び改正後法規の概要...