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国際税務研究 合算対象外国関係会社が未実現のキャピタル・ゲインを計上した場合の課税関係

青山学院大学 名誉教授 渡辺 淑夫

( 122頁)

設例

 日本の上場企業であるA社は、グループ内企業の1つとして、いわゆるタックス・ヘイブン税制上の軽課税国であるB国に、100%出資の外国子会社C社をA社が直接支配・管理し、自らは企業実体のない完全なペーパー・カンパニーとして有している。

そして、A社には、3年程前にこのC社にその全株を取得させて保有させている非軽課税国であるD国のベンチャー企業E社の株式があるが、E社は近年世界的に成長が著しい高度先端産業に属する事業を営んでおり、このところその業績が目立って好調で、その企業価値が投資時に比して略(ほぼ)5倍余りに増加するという急成長ぶりを見せ、しかもなお今後一層の成長が見込まれるなど、A社グル...