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移転価格税制についての素朴な疑問 24 無形資産取引について何に留意すべきか(6)

外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一

( 58頁)

Ⅰ はじめに 5月号

1 問題の所在

2 本稿の対象

Ⅱ 令和元(2019)年度税制改正とその背景

1 BEPSプロジェクトと無形資産

2 令和元(2019)年度税制改正の概要

Ⅲ 無形資産の定義

1 国内税法とOECD移転価格ガイドラインとの異同

2 無形資産の意義と種類

3 無形資産に含まれないもの

4 まとめ

Ⅳ DEMPEと独立企業間対価の支払 6月号

1 DEMPEの導入

2 国内税法の考え方

3 まとめ

Ⅴ 日系多国籍企業と無形資産取引 7月号

1 日系多国籍企業の実態

2 ライセンス取引 8月号

3 研究開発委託取引 9月号

4 譲渡取引

5 管理委託取引       (次号以降掲載予定)

Ⅵ まとめ

1 本稿のまとめ

2 今後のテーマ

Ⅴ 日系多国籍企業と無形資産取引(承前)

4 譲渡取引

(1)問題の所在

日系の多国籍企業グループの親会社が、グループ内の無形資産を集中管理しようとして、外国子会社が自ら開発した無形資産を譲り受ける取引を行うことがある。また、海外における企業買収の結果、グループ内に取り込んだ外国子会社の保有する無形資産を、日本の親会社に譲渡するケースも考えられる。このような取引においては、外国子会社所在地国の移転価格税制の観点からは、当該外国子会社が受け取る無形資産の譲渡対価が独立企業間価格に満たないかどうかが問題となる。他方、日本の移転価格税制の観点からは、当該譲渡対価が独立企業間価格を上回...