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グローバル・ミニマム課税に関する執行ガイダンスの要点

長島・大野・常松法律事務所 弁護士 南 繁樹
長島・大野・常松法律事務所 弁護士 伊藤 昌夫

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第1 国際最低課税額に対する法人税の全体像¹

国際課税制度改革の第2の柱(グローバル・ミニマム課税)とは、国2ごとに法人の利益に対し基準税率15%の課税を行う制度であり、来年2024(令和6)年から実施される。ある国の法人税が基準税率15%に満たない場合、その国に所在する会社の親会社に対して15%に満たない部分の課税を行う所得合算ルール(Income Inclusion Rule: IIR)が中心である。我が国でも法人税法において「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」(82条~82条の10等)が新設された3。3月決算会社に関しては、最初の申告・納付は2026(令和8)年9月末であり、それまでには3年間あるが、来年2024(令和6)年4月1日以降の取引(2025(令和7)年3月期4)はミニマム課税の対象となっていることを意識する必要がある5。英国など来年2024(令和6)年1月1日からIIRの適用を開始する国に親会社又は子会社が所在する場合、それらのIIR適用国に所在する外国会社は来年1月1日以降の取引がミニマム課税の対象となる。グローバル・ミニマム課税は世界的に統一されたルール...