[全文公開] 国際税務の英単語 qualified invoice(適格請求書)
佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周
本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、2023年10月から消費税のインボイス制度がスタートしたので、今回はそれに関係する用語です。
まずは前提となる基礎知識からお伝えすると、日本の「消費税」は、 consumption tax と訳すのが一般的です(「地方消費税」は local consumption tax です)。
消費税のような間接税( indirect tax )は海外にもありますが、国によって VAT ( value added tax )と呼ばれていたり、 GST ( goods and services tax )と呼ばれていたり、まちまちです。そのため、日本独自の呼称ということを強調する目的で、 consumption tax の前に" Japanese "を付けて、 Japanese consumption tax と表現する場合もあります。皆さんも JCT という略語を目にされることがあるかもしれませんが、これも Japanese Consumption Tax の略です。
今回の用語は「適格請求書」、つまり、インボイス制度でいう「インボイス」ですが、結論から申し上げると、これはシンプルに qualified invoice と訳しておけばよいと思われます。
一応構成を確認すると、「請求書」は、英語では invoice です(もちろん bill でもOKです)。 qualified invoice は、これに「適格の」という意味の qualified を付けただけです。
ちなみに、 qualified は、税務の世界では非常によく使う単語で、 to qualify には「~に資格を与える」という意味があります。そのため、 qualified で「資格を与えられた」、言い換えると、「適格の」というニュアンスになります。
1つだけ関連表現をお伝えすると、仕入税額控除のためには適格請求書の保存が求められますが、「適格請求書を保存する」と言いたいときには、 retain (~をとっておく)という動詞を使って、 to retain qualified invoices などと表現しておけばよいでしょう。
なお、 invoice には、貿易取引における「貨物の送り状」という意味もあります。それと区別したければ、 tax invoice という言い方が可能です。 tax invoice に正確な定義があるわけではないですが、そう言っておけば、「ああ、間接税に関係するものだな」と理解してもらえると思います。