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BEPS2.0各国の法制化状況と日本企業における留意点 第6回 オランダの動向

EY アムステルダム事務所 税理士 レネケ ファン・ダイク
EY アムステルダム事務所  ガボール バラニャイ
EY アムステルダム事務所  佐々木 悠
EY 税理士法人EMEA オランダタックスデスク ヨリス ファン・ハウステイ

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1.はじめに

オランダは、日本の多国籍企業(以下、「日本企業」)が地域統括会社や地域持株会社を設立するために最も好まれているヨーロッパの国の一つとされてきました。EU(欧州連合)の加盟国であること、25.8%といった穏健な法人税率、有利な租税条約ネットワーク及び100%の資本参加免税は、企業がオランダにおいて恩恵を受けることができる重要な税制です。

多くの日本企業に対するオランダの重要性を考慮し、本稿では、オランダがBEPS(Base Erosion and Profit Shifting)2.0のグローバル税源浸食防止(GloBE)ルール(以下、「GloBEルール」)を施行した場合の、オランダに拠点を置く日本企業に及ぼす影響に焦点を当てて解説します。まず、オランダの法制化状況とGloBEルールの施行による影響について説明します。次に、法人税率と、特定の税制もしくは会計基準の違いに基づく永久差異及び一時差異を確認することで、オランダにおける実効税率が、GloBEルールの最低税率である15%未満になる可能性を特定の項目ごとに検討します。また、オランダの源泉税と税制に関する見解を述べ、更に、必...