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インドネシアにおける現物支給の改正及び追加規定について

PwCインドネシア ディレクター 深澤 直人
PwCインドネシア マネージャー 石山 洋平

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1.現物支給の改正の概要

インドネシアでは2021年10月、国税規則調和法(2021年法律第7号/10月29日施行(Harmonisasi Peraturan Perpajakan / HPP)、以下「HPP法」)が制定され、主要税法含む税制の改正が行われた。主要税法である所得税法では個人所得税の累進課税の最高税率の変更とともに現物支給についても改正の対象となった。HPP法による改正は2022年からの適用に向けて、各改正項目の詳細については後続で公布される政府規則などの実施規則で規定するとされた。現物支給にかかる実施規則は2022年12月に発効された政府規則(2022年第55号(GR-55)/12月20日公布・発効、以下「GR-55」)、2023年7月に発効された財務大臣規則(2023年第66号(PMK-66)/6月27日公布、7月1日施行、以下「PMK-66」)の2回の規則において規定され、その発効時期や規定内容などから在インドネシア日系企業の多くが対応に苦慮しており、本稿執筆現時点においても引き続きその対応を検討している企業は数多い。具体的には、現物支給による課税対象の範囲の検討が挙...