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BEPS 2.0の最新動向

デロイト トーマツ税理士法人 パートナー 山川 博樹

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第1の柱「利益A」は、MLCはほぼ合意に近いものの、米国議会がよめず、現下実施の見通しがたたない。「利益B」はIFにおいて実施時期や実行フェイズがみえないものの、実施の可能性は高く、早期の具体的取組みが妥当である。第2の柱「GloBEルール」は、我が国IIRの実施が4月に近づき、また、世界各国のQDMTTの導入が予想されるところである。親会社としては、制度や各国動向を整理の上、初年度からセーフハーバーや経過措置の選択肢を把握し、各国QDMTT対応を含めたGloBE対応プロセスの構築が求められる。

はじめに

過去に遡るが2023年7月12日にアウトカムステートメント(成果声明)が出された。これは、OECD事務局のG20(インド・ガンディーナガル)向けレポートの主要な一部であり、加盟143か国中138か国の合意を得たものであった。これ自体は発信パッケージの要約である。2021年10月の大枠合意に参画しなかったケニアもナイジェリアも声明に参画した。導入直前でDSTモラトリアムに直面したカナダは、デジタルサービス税(DST)の国内法との関係で利益A実施の確かなタイムラインを要するとして参画しなかっ...