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移転価格税制についての素朴な疑問 26 移転価格文書化制度にはどう対応すべきか(1)

外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士 井上 康一

( 51頁)

Ⅰ はじめに

Ⅱ 移転価格文書化制度とは

1 全体像

2 背景

Ⅲ 制度の概要

1 はじめに

2 ローカルファイル

3 国別報告事項(CbCレポート)

4 事業概況報告事項(マスターファイル)

5 まとめ

Ⅳ 納税者としての留意事項

1 制度の意義と今後の方向性

2 納税者として留意すべき重要事項

Ⅴ まとめ

1 本稿の要約

2 関連する文書

3 関連問題の検討の意義

Ⅰ はじめに

平成28(2016)年度税制改正によって、以下の三層構造からなる移転価格文書化制度が整備された。

①独立企業間価格を算定するために必要な書類(ローカルファイル)

②国別報告事項(CbCレポート)

③事業概況報告事項(マスターファイル)

このうち、②CbCレポート及び③マスターファイルは、上記税制改正によって初めて導入されたもので、多国籍企業グループの全体像を示すことを目的としている。②CbCレポートが主として数値情報を用いるのに対し、③マスターファイルは、主に定性的な情報を記述するという点で異なっている。

他方、①ローカルファイルは、上記税制改正前からの制度を改正したもので、各国外関連取引の内容を明らかにした上で、移転価格分析を行った結果を示したもので...