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[全文公開] 国際税務の英単語 input tax credit(仕入税額控除)

佐和公認会計士事務所 公認会計士・税理士 佐和 周

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本連載は、国際税務でよく使う英語をピックアップして解説していくものですが、今回も 前回 に引き続き、消費税のインボイス制度に関係する用語です。

インボイス制度( qualified invoice system )は、主に仕入税額控除の要件に関係する制度です。そこで、今回は、この「仕入税額控除」をどのように英訳すべきかを考えます。

といっても、意外に英訳が難しいので、まず、日本の消費税から少し離れて、付加価値税( VAT: value added tax )について考えます。付加価値税においては、一般的に売上に係る付加価値税を output VAT (または output tax )と呼び、逆に仕入に係る税額を input VAT (または input tax )と呼びます。

そうすると、日本の消費税に関しても、「課税売上げに係る消費税額」(仮受消費税等)を output tax 、「課税仕入れ等に係る消費税額」(仮払消費税等)を input tax と訳しても、そんなに違和感はないはずです。であれば、仕入税額控除という用語のうち「仕入税額」の部分は、 input tax と訳しておけば意味合いは通じそうです。

では、仕入税額控除の「控除」のほうはどうでしょうか? 「控除」には色々な表現がありますが、「(税額の)控除」は tax credit と訳すのが一般的です。そうすると、「仕入税額控除」については、 input taxtax credit を組み合わせて、 input tax credit と訳しておけば良いのではないかと思います。

ちなみに、「仕入税額控除」を input tax credit と訳すなら、関連表現として、「仕入税額控除の適用を受ける」は、 to claim an input tax credit と訳せます。以前にも外国税額控除の関係で書いたとおり、この claim は、「要求する、請求する」という意味(特に「政府などに対する書面上での金銭の要求」というニュアンス)です。

なお、より無難なアプローチとして、「仕入税額控除」という用語をダイレクトに訳さず、その仕組みを伝える方法もあります。例えば、 input tax can be credited against output tax (仕入税額は売上税額から控除できる)等の表現であれば、あまり誤解も招かないのではないかと思います。